【研究目的】
呼吸器生体制御解析プロジェクトでは設置責任者のこれまでの研究業績をふまえ、呼吸器生体制御に影響しうる病態の中、主に下記研究課題の展開を試みる。
【研究課題】
1)難治性呼吸器疾患に対する新規治療戦略の探索
設置責任者は呼吸器感染症の基盤となりうる病態をはじめとして、多様な呼吸器疾患の病態、慢性閉塞性肺疾患、間質性肺疾患(肺線維症)、希少性肺疾患、睡眠時無呼吸を含む睡眠呼吸障害、胸部悪性腫瘍、肺高血圧症など、幅広い領域の臨床・研究・教育に関与し、また、厚生労働省「難治性呼吸器疾患・肺高血圧症に関する調査研究」班の研究代表者、日本肺高血圧・肺循環学会理事長、日本呼吸器学会理事等の責務を担いながら、日本の呼吸器分野の疫学研究、臨床研究、基礎研究を推進してきた。その経験とこれまでに得られた多くの研究機関、研究者との連携関係をさらに強めることで、当研究プロジェクトは生体制御の観点からさらなる研究を展開する。
まずはじめに、これまで大学院医学研究院呼吸器内科学講座において遂行してきた肺血管内皮細胞を中心とした肺障害に対する修復再生プロジェクトを、骨髄由来間葉系幹細胞からのエクソソームを使用することにより、肺血管障害病態の修復・再生治療戦略として役立つかどうか、その作用機序を探索し、さらにこの修復再生過程において、肺血管内皮細胞の形質転換を応用することが可能かどうか、といった研究に取り組む。研究全体として、骨髄由来細胞および組織常在性幹細胞を用いた難治性呼吸器疾患の治療戦略を開発する。
2)呼吸器疾患合併による不眠症病態の解明と治療法の開発
2015年~2020年まで 代表世話人を務めた睡眠障害研究会との連携、2014年から現在まで 研究代表者として厚生労働科学研究費補助金 難治性疾患等政策研究事業(難治性疾患政策研究事業)「難治性呼吸器疾患・肺高血圧症に関する調査研究」班構成メンバーとの連携、ウィスコンシン大学比較生物化学講座呼吸神経生物部門、筑波大学国際統合睡眠医科学研究機構、筑波大学スタッフとの研究交流などを基盤に免疫系、肺血管系、中枢神経系関与による睡眠障害の病態解明と治療法の開発を目指す。
3)生体制御の観点からの呼吸器感染症の病態解明
寄附研究部門の設置母体である真菌医学研究センターは、文部科学省より「真菌感染症研究拠点」に認定され、難治性疾患の共同研究を推進してきた研究施設である。2016年 広く異分野融合を目指す学際的共同研究拠点として再認定され、研究の発展を後押ししてきた。センターが整備する病原体のバイオソースの活用を試み、呼吸器感染症の病態解明と創薬事業に繋がる新規治療法開発を目指す。
巽 浩一郎 | 特任教授 |
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磯野 史朗 | 特任教授 |
並木 隆雄 | 特任教授 |
入鹿山 容子 | 特任講師 |